鱗水のりんすい的ブロ グ                                          < new page を見る     old page を見る >

                                                                                                                      2008.9.30

     大岩魚

        イワナばかりで申し訳ございませんが遣り掛けのイワナ仕上げさせていただきます。
        仕上げの一歩手前で棚の隅っこで7年ほど置き去りにされていた50cmのイワナです
        が、この他にも製作途中のものが随分と溜まってきているのでこの辺で整理しておか
        なければなりません。
        頭部を残したままほぼ完成しているのであとは目です。
        どんなに躍動的な作りになっていても作品の決め手はやはり目なので気合を入れて
        やらないとアンバランスな表情になってしまいます。
        同じものを何点作っても人の顔と同じで微妙な大きさや位置ですべて表情が違ってき
        ますね。
        眼光の鋭いもの、間の抜けて愛嬌のなるものやとぼけた表情など、何年やっていても 
        目付けは難しいです。

 

 


                                                                                                                      2008.9.24

     葉節を生かす

       葉節は普通に見られる節とは 構造が異なり黒く小さい虫の糞のようなものが点在する。
        木目が細かくきれいなケヤキなのにやたら葉節が多くて節を避けて取るには小さい作
        品にしかならない。だがこんな材は使い方次第で味のある作品になる場合がある。

        ヒラメの斑点模様に利用したのが下の作品で、傷物とされる節もバランスよく収まれば
        逆に面白みが出てくることになります。
        さらに全体に均等にバランスよく入っている板材などは鑑賞価値が高くなってきます。
        それはまたそれに最も相応しい用途として使われることが望ましいのではないかと思
        います。

 

      本来は邪魔になる部分なのだが・・

      幹の皮を剥いでみると表面がブツブツになっていて決して枝になっているわけでもない
        のに小さい節のように無数に点在する。構造的には根こぶのような状態になっているよ
        うに見える。これもあまり一ヶ所に集中してしまうとまた使いづらくなるので木取りも慎重
        行う必要がある。


川を剥いだ幹の表面


表面をカットしたところ


        完成して見るとこれも立派な銘木の魚になっています。
        きれいなところだけが銘木になりうるのではなくやはり適材適所であって結局は使い方
        次第ということになりますがこれも使ってみようという強い気持ちがあればこそです。

 


 

                                                                                                                        2008.8.4

               クスの香りに満ちています。

       部屋の中はいつもクスの香りで充満しています。
       クス以外の材も置いているのですがクスは絶え間なく常になにかしら彫っている状態な
       ので他の匂いは打ち消されてしまっているようです。
       玄関を入ってきた人はかならず「木の匂いがしますね!」といいます。ほんのひとかけら
       削っただけで家の中はクスの香りに包まれてしまうのです。
       自分は半分ほど麻痺しているのでそうでもないのですが初めて入ってきた人はおそらく
       樟脳によってスーッと鼻から脳にかけて刺激されなんともいえない気分になるのではな
       いでしょうか。

楠の香りが漂う岩魚

 

 


 

                                                       2008.7.12

     蝶蝶魚 コクテンカタギ

    壁掛けの作品ですが栓(セン)の材で彫ったもので、色は白く上品かつ木目はくっきりとしていて年輪
    にそった導管がきれいに一列に並び木目が非常に鮮明であるのが栓の特徴で白手の材のなかでは
    私が使う材の中でもクス、ケヤキに次ぐ優良材であります。
    色を除けばケヤキによく似ていて木目に少し波打ったところが出てくればケヤキ同様に魅力的な材
    なのです。

 

    蝶蝶魚ですからサイズ的には大きくないので当然キャンバスは小さくなりますので木目は細かい
    ところでなければなりません。目が細かく少し波打っていれば柾目板目を問わずそれはもう色んな
    表情を見せてくれますね。その分彩色は極力控え目にしなくてはなりませんが。
    総体に蝶蝶魚科の魚はカラフルな色をもっているので彩色なしでは少し物足りない気もしないわけ
    ではありませんがどちらかというと色なしで表現できる種類を選びがちになってしまいます。
    やはり木味を優先しますので両方をうまく融合させることは今後の課題となるでしょう。

   

 

 


                                                  2008.7.08

   粗削りの作品が溜まってます

  みなさん御無沙汰してました。
  材の整理やら工房の周りの草刈りやらシロアリ対策などいろいろやっておりますと時間が経つのが早い
  です。彫ることに集中できなくなるとこうも作品ができないものかとつくづく思う今日このごろ。
  てな具合でしばらく更新が遠のいておりました。
  整理している間にも木切ってすぐにでも彫れるようにと一応用意はしてあるのですが、ごらんのように粗削り
  の作品がずいぶんと溜まってしまいました。
  こうなるとどれから片付けようか迷うところでさらに集中力がなくなってしまいますね。
  因みに形にしてあるのはイワナ大小8コ・ヤマメ・アユ・アユモドキ・タナゴ・トビハゼ・トビウオ・カサゴ・キス・
  クルマダイ・チョウチョウウオ10コ・クエ・ハタ etc
  一点づつ消化していくしかないないように思われます。その間にまた彫りたいものができる可能性があるの
  でおそらくこんなスタンスでもってずっといくと思います。

 

 


 

                                                                                                                       2008.5.24

      縮れ杢  10センチほどの魚にも木のこだわりを

    ■木と魚をイメージし杢の視覚効果をうまく取り入れる
     実にきれいな栃の材です。
    どうですこの絣(かすり)のような紋様は。まるで水中の魚に水面のゆらめきが映し出されているように
    も見えます。魚に彫らなくてもこの材を眺めているだけでも十分ではないでしょうか。
    栃や楓にはこの縮れ杢がよく現れているのを見ます。これと同じような杢でバイオリンの背板などに
    用いられているもので波状杢といわれるものがありますが、前者のほうが細胞の配列が一層不規則で
    波の幅も狭いものと広いものが入り乱れているので直な配列のものよりこちらの方が彫刻には結構お
    もしろい作品が期待できます。
    模様も色が強く出すぎるのもかえって魚のイメージを損ねかねないのでその辺の加減も重要になって
    くるかと思います。 
    タナゴは今回で6点目ですが以前とどこが変わったといえば制作時間でしょう。 長年やっていると
    ちょっとしたと細かいころまで見えてくるのでそれを納得いくまで手間をかけていると知らない間に制作
    時間が以前にくらべてかなり掛かっていることに気づきます。 小さな作品においては特にそうです。

    木彫魚に当たっては皆さん本当に感心されていてどんな木を使いどのようにしていくのか細かいところ
    まで大変興味があるようです。
    20年余りもやっているとそんな疑問を持っていることなど今やすっかり忘れてしまっていました。
    今後制作工程の木取りの段階から最終仕上げまでを取り上げてみたいとおもいますが今回は前半の
    ところだけちょっと説明しておきます。





材を必要な厚さに挽いてから魚の型で杢のきれいなところを選んで墨
を入れてます。
杢を生かす一番重要な木取りの段階です。

 

バンドソーで墨の上を挽いていきます。カービングをやり始めた当初はすべてノコギリでやってたんですよ。
曲線挽きは帯鋸の刃の幅の狭い
ものだと小回りがきくので小さいものでも一気に挽いていくことができます。


曲りの少ないものは側面の方を描いて切りますが曲りの強いものは上から見た背面を描いてから挽きます。そのほうが左右のヒレの位置に誤差がでてこないというところがポイントです。
 

            とまぁ 制作工程を写真でみれば簡単なようにみえますが 魚の形に切り取ってからの作業が本番
     です。こんな小さな魚でもどれだけの時間が費やされているかはみなさんあまりご存じないようで
     す。 実際に本人ですらどれだけの時間がかかったのか記憶が定かでない作品もあります。
     材料を吟味し、魚のモデルを決めどのような構図にするか、それだけでも何日もの時間を費やすこ
     とだって毎度のことなのです。
     同じものを量産する仕事とは違って、一点一点すべて違った味があり、それこそ二つとない作品が
     生まれる瞬間に出会えるのがこの木彫魚の醍醐味ではないかと思っています。
     

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